夕焼け町の小焼け通り

「それじゃあ、オレとピピは出掛けてくるから」
そう言って日も高くなった頃、向かいのグラスィエさんの研究所から夕日のような真っ赤な髪の女性と、研究者のピピくんが出てきた。
女性の方は最近この町に滞在している旅人さんだそうで、決して愛想が良いとは言えないが、町中で会う様子からすると身なりもしっかりしていると近所でも噂になっている。

おや、あなたも旅人さんかい?ようこそ。
この町は中部から少し北に上がった北部の国の中にある静かな郊外の町だ。
本当に住宅地のためにあるというような町で、南側に住人が主に利用するちょっとした市と喫茶店、東の端に儲かっているのかもわからない宿がひとつ。
残念ながら娯楽施設や図書館みたいな大きな建物は隣町まで行かないと見当たらないかな。
まあ、どこの町でもそうかもしれないけど、路地裏では流れ者の商人がちょっとした珍しいものを売ってるかもしれないね。

あとこの町は静かな環境であることが理由なのか、国が研究者の人を安い家賃で住まわせられる借家を何軒か設置している。これは他の町にはあまり無いことらしい。
さっき旅人さんと少年が出てきた家がそうだ。住宅、研究所を兼ねていて、夢見の研究をしていると聞いたことがある。また、希望者を募ってたまに講義をしている。
……夢見の研究が、なんの役に立つのかは一般人の私にはよく分からない。

ああ、それと、だいぶん前にこの町に寄った旅人に夕日が綺麗だと言われたことがあるなぁ。
住んでいると気付きにくいのかもしれないのかもしれないけれど、静かな場所であるこの町は空気が澄んでいるぶん鮮やかな夕日が見えやすいのかもしれないね。

なんてことを言ってると時間も経ったようで、旅人さんとピピくんが帰ってくる音がした。
あなたもまたこの町に来る機会があったら、大したことないかもしれないけど歓迎するよ。

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